オクト絵画教室の皆様へ 若林薫の思いを手紙にしてお届けいたします       2008年7 1

青空の眩しい季節になりました。皆様おかわりありませんか?

毎月 皆さんとスケッチに出かけ 思いっきりその時の空気を吸い 風に吹かれ 空の下楽しい 

1日を過ごしております。

一口で風景のスケッチといっても、山には木や草や花があり、川には石や水があり、建物には木造建築や

コンクリート造り ガラスや瓦やレンガ そして公園には人工物の遊具やベンチ等 人間のいる空間が

あります。時には人のいる風景も描きたくなります。  

臨場感を感じさせながら すばやく描くスケッチにあこがれて 絵画を始めた人が 非常に多いと思います。

大きく広い空間を 小さな画面に描く事は とっても難しいことです。

ここで、アクリル画のステップ1で定規を使って描いた一点透視・二点透視を思い出してみてください。

SP
(立ち位置)やVP(消失点)と聞きなれない点を画面にとったことがあったと思います。空間にある

対象物を平面に描くための技法(遠近法)であり「透視図」です。

この透視図は11世紀ころより いかに立体を平面に描き表すか? いろいろ試行錯誤で考えられていたの

ですが 確立したのが15世紀で 絵画の世界にはもうすこし後になって応用されたようです。

1435年人文主義者であり建築家でもある レオン・バッティスタ・アルベルティが透視図法の詳細な

論文「絵画論」を発表しました。アルベルティの『絵画論(
De pictura)』は、西洋絵画を確立したもので

あると言っても過言ではないでしょう。


この透視図は世紀の発明なのです。彼は遠近法の手法を構築し、絵画は遠近法と構成と物語の三つの要素が

調和したものであると考え、これによって絵画の空間を秩序づけました。

彼は、芸術作品について常に調和を重んじ、それを文法化することに腐心した。そのため、彼の芸術論は

非常に優れたテキストであった。

全ての対象物(山も川も建物も人物も)を透視図に当てはめていくと 正確なスケッチが描けます。

透視図が発明される以前には 絵画の遠近感を

出すために、いくつかの方法がありました。

【上下法】

遠くのものを画面の上に、近くのものを画面の

下に描く方法

【遠小近大】

遠くのものを小さく、近くのものを大きく描く

方法

【空気遠近法】

近くのものと遠くのものでは、空気の層によっ

て色合いが違って見える


(例えば、遠くの山は青っぽく見える)ので、

色調や濃淡によって遠近を表す

【消失遠近法】

遠くのものは細部がよく見えないはずなので、

遠くのものは簡略化して描く

これらはいずれも空間の奥行きを観念的に表現する方法です。いいかえれば、絵を見る人はその構成や

描写から奥行きを感じとり、理解するが、風景が実際に網膜にそのように見えているわけではありません。

いずれにせよ この広い空間にある 全ての姿を絵として画面に表現する事は1000年も前からの大き

な課題だった事がわかります。

画期的な発明であるアルベルティの透視図なくして建築も絵画の発展も無く また コンピューターグラ

フィックスによる立体表現(3D)
の出現も無かったのではないでしょうか?

画面に向かって描こうとする前に 
透視図の原点である 姿勢をただし 対象物に向かった 自分の立ち

位置と 目の高さと 消失点を
確認してみましょう。             薫


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