オクト絵画教室の皆様へ 若林薫の思いを手紙にしてお届けいたします       2008年5 1

風薫る5月となりました。お変わりありませんか?

「フェルメールブルー」という青色の名前を

聞いた事が
ありますか?

この青は、天然「ウルトラマリンブルー」という

絵の具で、「ラピスラズリ」という非常に貴重な

鉱石を原材料としています。

ラピスラズリは、17世紀には金よりも貴重であっ

たといわれ、

「天空の破片」とも呼ばれたといいます。



「真珠の耳飾りの少女」フェルメール

ラピスラズリを非常に細かく砕き、乳鉢ですりつぶして粉末状にしたものを溶液に溶かし、上澄みを

捨てて純化し、それ
を植物油脂でとくことによって「ウルトラマリンブルー」は生成されます。

ウルトラマリンブルーは通常の青い絵の具の百
倍の値段がついたとされ、通常の画家はマリアの

マントなど
の限られた部分にしか使わない貴重な絵の具でした。

しかし
17世紀オランダ・デルフトで生まれた風俗画家のフェルメールはこのウルトラマリンブルーを

ふんだんに使った。

彼はなんと、ウルトラマリンブルーをドレスの下地に使うという、当時の常識としては考えられない

使用法を用いた。フェルメールが亡くなったときに多額の借金があったといわれるが、あるいはこの

ような高価な画材でさえも躊躇なく使った、そのこだわりが借金の原因の一つだったのかもしれない

と言われている。この天然ウルトラマリンは 半貴石ラピスラズリから取り出す貴重な青で、

19世紀前半に人工ウルトラマリンが登場するまでは、極めて重要な役割を果たした。

ラピスラズリは産地が限られていて、ヨーロッパで使用されたものは、現在のアフガニスタンに

産するものだった。海路で運ばれたため「海を越えてくる青」という意味のウルトラマリンの名称

で呼ばれた。原石が貴重であったことと、さらに原石を顔料にする技術が複雑であったために最も

高価な顔料となり、金と同等かそれ以上の価値があった。

絵具の最も重要な原料である顔料は 自然界にある天
然の鉱物の粉末です。

【白色顔料】の白亜(日本語)は未固結
で泥質の石灰岩のこと。主として円石藻(プランクトン)の

石。上質(白色度の高い)のものはハマグリを粉砕した粉が用いられる。【黄色顔料】の黄土は

砂漠や氷河に堆積した岩粉が
風に運ばれて堆積したもの。黄土はイエローオーカーと呼ばれる。

【赤色顔料】の辰砂は硫化水銀からなる鉱物です。水銀の
重要な鉱石鉱物です。

【緑色顔料】の緑青はクジャク石の粉末
です。【黒色顔料】油煙や松煙に含まれる炭素の微粉末

(すす)
を使ってきた。

  日本にもフェルメールのように高価な絵具を

ふんだんに使った画家がいます。


写実的にして装飾的な花鳥画と
水墨画に独自の画風を

作り上げた江戸中期の画家、伊藤若沖。


若冲は高価な絵具を表だけではなく裏からも彩色して

いるため、その色彩は色褪せる事なく、どの作品もそ

の鮮やかな色彩
に驚きます。

どこの国の画家達も描こうとするものの色を忠実
に再

現するために、自分のカラーを作るためにまたそれを

後世に残すためにも、色を探し、色にこだわってきた

のでしょう。

安価に安易に絵具が手に入る現在、あなたの過去に

描かれた絵を振り返ることで自分色が見えてきませ

んか?                  薫



「群鶏図」   伊藤若冲

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