オクト絵画教室の皆様へ 若林薫の思いを手紙にしてお届けいたします       2008年3 1

弥生3月 やっと春めいてきました。お変わりありませんか。

なぜ 絵画の基本はデッサンなのか? オクトでもデッサン教室は独立をしてじっくり取り組めるように

時間を設けています。 今回は デッサンの必要性とは? デッサンの魅力とは?を お話ししたいと思い

ます。

デッサン教室で皆さんのこんな声を聞きます。「一年やってきて やっと見えない光や影が見えてきて 

楽しくなってきました」「形のとり方が解ってきました」「デッサンが役にたつのでしょうか?」等々。

デッサンは時間がかかります。根気と集中力も必要です。そ
もそもデッサンの目的は「物の本質を見抜く目

を養うこと」つまり「対象物の構造、しくみを知ること」です。デッサンの習い始めは、まず目に見える現

象を忠実に描き写すことを目標とします。自分の目の位置から、見えた形、プロポーション、明るさの具合

をしっかり計りながら平面上に捉えることが大事です。 比例と調子を間違わなければ形を写すことは出来

ます。デッサンはそれにムーヴマン(動勢)が無ければなりません。どんなモチーフでも形や影がしっかり

捉えられるようになったら、つかめる、撫でられる、裏側がどうなっているのかまでわかるような存在感の

あるデッサンに仕上げていきます。モチーフに向かったら、そのモチーフをあらゆる方向からながめてみて

ください。そうして捉えた空間上の物体と、今描かれつつあるデッサンとを絶えず比較してゆくのです。

そうした努力を何十枚、何百枚と重ねてゆくうちに、モチーフの重さも、モチーフを囲む空気も一緒に表現

できるようになるはずです。それがデッサンの魅力でありダイゴミかもしれません。

デッサンとは形とムーブマン(動勢)であるともいえます。

では、なぜ石膏像を使うのか? 古代の彫刻には身体の

均衝にもムーヴマンにも申し分が無いと考えられています。

古代彫刻をかたどった石膏像は白いので明度の調子を白黒

の調子におきかえるのに都合がいいのです。

表現に規則などありません。ただ、鉛筆の表現の幅は広

げておきたいです。鉛筆も4Bから2Hまでのものを使い

分けると良いでしょう。同じ鉛筆、同じタッチで描き分け

るのは困難です。とにかく見ること。

そして意識して描くこと。あなたの目で観ぬいたモチーフ

の本質とあなたの訓練によって得られた表現力が合致した

とき、テクニックを超えた、あなただけのすばらしい

デッサンが描けると思います。




カラカラ帝

油彩でもアクリル・水彩・パステル・水墨等々どんな画材であっても 「描きたいものを描く」

そこにどんなモチーフであろうとも自在に画面に表すデッサン力が必要です。

写真を参考に見て作品にする場合もデッサンと同じ意識だと思います。表面に見える色や形だけで

はなく そのもののムーヴマン(動きの感じ)奥や向う側や時間や季節や空気等々までも観て、

感じて、考えて その物の本質に迫ることが大切だと思います。そのために意識の持ち方の訓練が

デッサンだといえます。

声楽家には発声練習。スポーツ選手は走りこみ。と同じように、デッサンは絵を描く基礎体力をつ

ける手段のように思ってはいかがでしょうか。

描いている時間はじっくり楽しみながら、時代を超えて古代彫刻の帝王や偉人達に問いかけながら、

描いてみましょう。


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